Gumma_de_Sharoushiのブログ

群馬で社労士として開業をめざします。→開業しました。

社労士法第22条「業務を行い得ない事件」に普通の手続きは含まれるか

井上久さんの特定社労士試験のページを相変わらず熱心に見て勉強しています。倫理の問題でつまづいたところがありましたので、自分のメモ用に書いておきます。

特定社会保険労務士試験合格への招待 - 杉並区で交通事故相談なら社労士・行政書士イノキュウ

 倫理練習問題④ 第4問小問(2)

特定社会保険労務士乙は、E社に勤務するXより、E社の社長から、マタニティハラスメントを受けたので、慰謝料を求めて欲しいとの依頼を受け、Xの代理人として、都道府県労働局長に雇用の分野における男女の均等な待遇の確保等に関する法律に基づく、調停の手続を申請するための準備をしていた。 乙が、その調停申請の準備中、乙の事務所近くのE社の完全子会社であるY社から、Y社の就業規則作成の依頼があった。 乙は、Y社からの依頼を、(ア)「受任できる」か、(イ)「受任できない」かを、解答用紙の結論欄に記号で記載し、その理由を理由欄に260字以内で、記載しなさい。 

私はこの問題を、次のように解答しました。

1回目

Y社はE社とは別の会社であるから、紛争の相手方ではないので、以来を受任することは法的に問題がないと一見思える。しかし、Y社はE社の完全子会社であることから、仮にY社の依頼を受けた場合、Xの信頼を裏切り、社会保険労務士としての品位を失墜させ、公正な職務の執行を害することとなる。よって、乙はY社の依頼を受任してはいけないと考える。(164文字/260文字)

2回目

Y社は、紛争の相手方であるE社とは別の会社であるから、Y社の依頼を受けることは、社会保険労務士法第22条に定める業務を行い得ない事件ではない。しかし、Y社はE社の完全子会社であり、報酬を得て就業規則の作成を請け負った場合、Xの乙に対する信頼を裏切り、社会保険労務士としての品位を失墜させ、公正な職務の執行を害することとなるので、乙はY社の依頼を受任するべきではないと考える。(187文字/260文字)

相変わらず文字数・・・orz

 

井上久さんのページある模範解答では下記のとおりです。

就業規則の作成は、事務手続であり、社労士法第22条2項において、業務を行い得ない事件として、規定されているわけではないが、調停の相手方となるE社の完全子会社であるY社の依頼を受けたとしたら、Y社の利益は、E社の利益に通じ、調停の相手方となるE社を利することになる。また、E社の完全子会社Y社から乙が報酬を得ることをXが知った場合、乙に裏切られたと感じ、さらに、報酬を得る見返りにE社に対して、手加減をしたのではないかと乙の業務の公正さに疑念が生じる可能性もある。以上の理由から、乙は、Y社の依頼を受任することはできない。(257字)  

そして私はここで「はた」ととまってしまいました。

事務手続であっても、業務を行い得ない事件となるのでは?社労士法第22条は、業務を行い得ない事件を紛争解決手続代理業務に限定していたのだっけ??と。

 

社労士法第22条の規定は、下記のとおりです。

(業務を行い得ない事件)
第二十二条 社会保険労務士は、国又は地方公共団体の公務員として職務上取り扱つた事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱つた事件については、その業務を行つてはならない。
2 特定社会保険労務士は、次に掲げる事件については、紛争解決手続代理業務を行つてはならない。ただし、第三号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 紛争解決手続代理業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 紛争解決手続代理業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 紛争解決手続代理業務に関するものとして受任している事件の相手方からの依頼による他の事件(以下略)

赤文字は筆者。

 

もう法の条文を見れば明らかだったんですが、私はこれを「社会保険労務士法詳解」が届くまで(今回購入した。経費になるよね?)気が付きませんでしたOTL

情けない。これだから私は・・・・(ブツブツ)。

 

社会保険労務士法詳解はすごい本です。実務ではそれほど使うことはないだろうけど、特定社労士試験の倫理の勉強にはものすごく役に立ちます。

 

法の正しい解釈というか、意図するところが詳細に丁寧に書いてあるので、目からうろこなことが多いです。

 

あと、社労士法の歴史がよく分かります。先人たちが苦労して社労士法をよりよくしてきてくれたんだなあと思います。

 

 

社会保険労務士法詳解282頁に

本条一項は、紛争解決手続き代理業務に限定された規定ではない。

とはっきり書いてありました。

一方、第2項では、最初にはっきり「紛争解決手続代理業務を」と書いてありますように、紛争解決手続代理業務に限定されているのです。私はこれに気が付かず、井上さんの模範解答を見て「???」となったのでした。

 

まとめ

  • 第1項では業務を限定せず、1号業務や2号業務、3号業務も含まれる。
  • 第2項では業務を限定している。第2項では紛争解決手続代理業務に限定。

 

確かこれ、グループ研修のときにリーダーが言っていたような気がします。しかし、当時のノートを見てもぐちゃぐちゃで読み取れず・・・orz