労基法に違反すると何が問題か
労基補には各種労働条件の定めがあるようですが、そもそも労働条件は当事者どうしで決めるものですから、当事者が納得していればよいのではないですか。守れもしないような条件を強制されては会社はやっていけません。違反しても是正勧告を受けてから直せばよいのではないですか。
今この本を読んでいます。
冒頭の質問は、この本の中にあったQuestionです。Answerはなかなか実利的な内容になっていて、「こういう風に答えればよい」のお手本のような回答でした。
さて、この記事では、私なりにこの質問に答えてみようと思います。
会社の寿命は30年と言われています。
社長が一代で築いた会社。創業の苦しいときを乗り越え、軌道にのった10年目、拡大した20年目、そして安定した30年目。いいですね!
でも、社長が引退した後、その会社はどうなるでしょう?
跡継ぎがいればよいですね。でもいなければ?
いたとしても、従業員が二代目についていかなかったら?・・・・廃業です。
私の見てきた中小零細企業で、労基法を無視したり、社長のワンマンでやってきた会社は、見事なまでにつぶれました。
早ければ、30年もたたないうちに廃業でした。
それは、なぜか?
自転車操業だったとか、メインの取引先が不況でつぶれて連鎖倒産とか、いろいろな理由があります。
しかし、うまくいっているように見えた企業で、社長が死んだら即廃業となった企業というのは、たいてい跡継ぎが嫌がったためでした。
遵法意識の低い会社は、だれも継承したがらないのです。
そりゃそうですよね、ブラックな会社なんて外聞が悪いです。
そもそもそういう会社には、人が定着しません。
いったんは就職しても、すぐやめます。
当事者が納得しているのであればよい?
それ、本当に納得しているのでしょうか?
我慢させているだけではないのですか?
労働者の立場は弱いです。社長には言いたくても言えないだけでは?
違反しても是正勧告を受けてから直せばよい?
そんな受け身でよいのですか?
そうやって、是正勧告を待っている間に、優秀な労働者はどんどん辞めていきますよ?
二代目も、是正勧告を受けたような企業を誰が引き継ぎたいものですか。
M&Aするにしても、クリーンな会社でないと売れませんよ?訴訟リスクを抱えた企業なんて、ハイリスクすぎて誰も買いません。
それでも別にかまわないという経営者は、確かにいます。
「俺が一代で作った会社だ!俺の好きにして何が悪い?」というお考えの方はいます。
その場合、私は「どうぞご勝手に」というスタンスです。
守秘義務がありますから、労基署に告げ口もしません。
しかし、いずれそういう会社はなくなっていくでしょう。
人間の寿命は限りがありますから。会社にも寿命があります。
以前は会社の寿命は30年だったけど、最近では23年くらいに短くなっているとか。
「企業の寿命」はますます短命に? カイシャ受難の時代に、僕らはどんな力を磨くべき? | 人生100年の歩き方
今、国は順法意識の低い会社を淘汰している最中です。
長時間労働規制が明文化されましたよね。あれは長時間労働しなければ回っていかない会社はだめですよと言っているんです。1か月45時間未満の時間外労働でなんとかできない会社はもう認めてあげませんと言っているんです。
同一労働同一賃金もそうです。非正規を合理的な理由もないのに低待遇のまま使う企業はだめだと言っているんです。ちゃんと合理的な理由を用意するか、合理的な理由がないなら正社員と均衡のとれた待遇にしないといけませんと言っているのです。それができない企業はもう認めてあげませんと言っているんです。
御社は控えめに言って、淘汰される側に回ってしまっていますが、よろしいですか?
・・・とまではさすがに面と向かっては言いませんが、残念な経営者と話すと「あーあ。この社長も淘汰される側に回ってしまっているヨ」と残念な気持ちになります。
なんとか助けてあげることができればよいのですが、いかんせん聞く耳をもってもらえないので、どうにもできません。
この辺が社労士の交渉術、営業力なのでしょうか。だとしたら、私はまだまだですね。