社労士法第17条の付記について
社労士法第17条の付記について調べています。
社労士法第17条の付記とは
社労士法第17条とは、
社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、申請書等(厚生労働省令で定めるものに限る。)を作成した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、当該申請書等の作成の基礎となつた事項を、書面に記載して当該書面を当該申請書等に添付し、又は当該申請書等に付記することができる。
というものです。
書類を作成するにあたって、当然添付書類を確認しているはずでして、それを添付して提出するのがふつうですが、書類に審査しましたよということを記載しておけば、添付しなくてもよいという規定です。
記載することを「付記」と言っているので、17条の付記と呼んでいます。
これがあると何がよいかというと、ハロワで
「あ!しまった!労働者名簿もらってくるの忘れた!」
というおバカな新人勤務社労士がいたとしても、片道15分かかる事務所まで戻らなくても、第17条の付記のハンコを押してあり、その枠の中に労働者名簿という小さいハンコも押してあるなら、
「あら先生、知らないんですか?この17条の付記のハンコは、添付書類を省略できるんですよ。ほら、受け付けますから出して」
と窓口で受け付けてもらえてしまうんです!(実話)。
ハロワの職員の方にはその節はたくさん親切にいろいろ教えていただきました。感謝!
社労士だと添付書類が少なくて済むので、顧客に売り込むときの一つのネタになります^^
すべての書類についてできるものではなく、社労士法施行規則の第13条で、対象となる申請書が列挙されています。
詳細はそちらを見てください。本稿では扱いません。
ハンコの根拠
さて、記載すればよいはずですから、本来17条の付記とは手書きで記入してもよいはずです。
しかし、ハロワで私が窓口の方に確認したとき、手書きは基本受け付けていないこと、ハンコには規格があって、適当なものではいけないことを言われました。
今回開業するにあたって、17条の付記のハンコを作るかどうか迷っています。
手書きで済むならそうしたい、手書きがだめなら根拠を確認した上でハンコを作りたいと思いました。
調べましたところ、東京社会保険労務士協同組合さんや、青森県社会保険労務士会の会報などに規格の記載がありましたが、それらは規格を知らしめているだけであり、根拠自体は見つけることができませんでした。
むぅ。根拠を知らぬまま、ただやみくもにハンコを作りたくない・・・。
17条の付記がハンコ形式になるまでの経緯
青森県社労士会の会報第97号にヒントになりそうな通達が一部載っていました。
社会保険労務士法第17条に基づく付記の方法について 労懲発59号 昭和57年10月25日
労働大臣官房労働保険徴収課長より都道府県労働基準局長・都道府県労働主管部(局)長あての通達です。
これを読むと、次のような時系列だったことが分かります。
- 昭和57年1月29日 17条の付記に関する社労士法の改正にともない、庁保発2の通達が出る。この通達には具体的な付記の仕方までは書いていない。
- 昭和57年10月までに 労働基準監督課、職業安定局雇用保険課、全国社会保険労務士連合会で協議。
- 昭和57年10月25日 発労懲59※の通達が出る。多分ここでハンコの規格が知らしめられた。
ということは、社労士会のホームページ行けば規格が載っているのでは!?
という訳で、地元の社労士会のホームページへ行ってみました。
※この労懲59の通達を見たかったのですが、無料Webの海の中からは見つけられずしまいでした。
国会図書館に行って、年間32万円くらいするお高い検索システムを使えば(利用者が検索する分にはタダです)読めるのでしょうか?
いつか東京に行ったら試してみたいです。東京にお住いの社労士さんで、国会図書館に行く用事のある方、どなたか私の代わりに調べてきてくれませんか!?
各社労士会のホームページ情報
まずは地元群馬の社労士会を調べました。
載っていませんでしたorz
17条の付記のハンコ発注書のみ。
茨城県社労士会のホームページはいろいろなQAを載せており非常に参考になるところですが、付記についても割と詳しく載っていました。
社労士と社労士制度 よくある質問(Q&A FAQ) - 茨城県社会保険労務士会
このうちの
社会保険労務士が行政機関に書類を提出する場合には、添付書類を省略できるそうですが、どのような仕組みになっているのでしょうか。
が大変よく回答されていると思いました。
一部引用します。
また、付記の方法については、付記印の使用が印影の形状まで通達で規定されており、文書の「社会保険労務士記載欄」の近くの欄外余白等に押印することとされています。
OH・・・私、この通達を読みたいです!
やはり、根拠は通達にあるようです。
おそらくその通達は昭和57年10月25日発労懲59だと思います。
まとめ
今回結局17条の付記のハンコの規格の根拠までつきとめることはできませんでした。
しかし、昭和57年に発出された通達が根拠である可能性が高く、機会があったら読んでみたいと思います。
20230313追記
この通達はいまだに見つけることができていません。
その代わり、おもしろいものを見つけました。古い雑誌で「社会保険労務士報」というのですが、そこに、できたてほやほやの全国各地の社労士会の会則が載っていて、その会則に楕円形のハンコの印影が載っているのです。
群馬会のには印影は載っていませんでしたが、おとなりの県の会則には載っていました。コピーをとってきたので、著作権法上問題ないことを確認したら、記事にしようと思っています。